「生産緑地」とは?
「生産緑地」とは、市街化区域内の農地のうち、農業を継続することを条件に、固定資産税・相続税等の税務上のメリットを受けることのできる農地です。
生産緑地法によって1992年に制定されました。
1970年代、人口の増加により、一部の都市の都市化が急速に進み、緑地が宅地へと転用されることが増えていき、急速に市街地の緑地が減少した結果、
住環境の悪化や、土地が地盤保持・保水機能を失ったことによる災害などが多発し、大きな社会問題となりました。
この問題に歯止めをかけるため1972年に制定されたのが、生産緑地法です。
都市化が進む市街地の中に「生産緑地」を設けることで、緑地の持つ防災機能や緑地と調和する都市環境を守るというのが主な目的です。
国土交通省のデータによると、全国には約13,000ヘクタール、東京ドーム約2,760個分の「生産緑地」があります(平成29年 都市計画実況調査より)。さらに、その約1/4にあたる約3,000ヘクタール(全体の約24%)が東京都の「生産緑地」で、神奈川県は約1,300ヘクタール(全体の約10%)、埼玉県は約1,700ヘクタール(全体の約13%)となっています。
生産緑地法は、緑地の有する環境機能などを考慮し、農林漁業との調整を図りながら、良好な都市環境を形成していこうという目的で制定された土地制度でした。
しかし、進む都市化による土地不足と地価上昇は止まらず、さらに1992年に「生産緑地」と「宅地化農地」を定めることになりました。
緑地の環境機能を維持するために、農地として保存すべき土地は保全する「生産緑地」と、宅地への積極的な転用を進めていくための「宅地化農地」と土地の目的を大きく2つに分け、都市計画において一定の効果を収めたこの制度は、法の改正を重ねながら、現在に至っています。
「生産緑地」の指定を受けると、土地の所有者は農業を経営する義務が生じるとともに、市街化区域内の他の農地に比べて、固定資産税が大幅に軽減されるという利点があります。
生産緑地の定義
「生産緑地」は、生産緑地地区の区域内の土地又は森林のことです。
生産緑地法第3条第1項の規定で、具体的には以下のように決められています。
- 公害又は災害の防止、農林漁業と調和した都市環境の保全等、良好な生活環境の確保に相当の効用があり、かつ、公共施設等の敷地の用に供する土地として適しているものであること。
- 500平方メートル以上の規模の区域であること。
- 用排水その他の状況を勘案して、農林漁業の継続が可能な条件を備えていると認められるものであること。