土地収用制度とは
土地収用法は、憲法第29条第3項の「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる」との規定に基づき、 「公共の利益となる事業に必要な土地等の収用又は使用に関し、公共の利益の増進と私有財産との調整を図り、もって国土の適正且つ合理的な利用に寄与すること」を目的として定められたものです。
このような趣旨から、土地収用制度は、次のとおり大きく分けて「事業認定手続」と「収用裁決手続」の2つから構成されています。
事業認定手続
国土交通大臣又は都道府県知事が、起業者からの申請に係る事業が真に公共のためになるものであり、 土地等を収用し、又は使用するに値する公益性を有することについて認定する手続きです。
事業認定を受けることにより、起業者は、土地等を収用し、又は使用することができる権利が付与されます。
対象事業
土地収用法(事業認定)の対象事業は、土地(権利、物件等を含む)を収用し、又は使用することができる公共の利益となる事業で、同法第3条各号(1号~35号)に列挙された事業です。
具体的には、主に次のような事業です。
土地収用法 3条該当号 |
事業の種類(施設の種類) | 事業の根拠となる法令等 |
1号 | 道路 | 道路法 |
2号 | 河川 | 河川法 |
19号 | 消防施設 | 消防法 |
21号 | 学校 | 学校教育法 |
22号 | 公民館、博物館 図書館 |
社会教育法 図書館法 |
23号 | 社会福祉施設 | 社会福祉法 |
25号 | 火葬場 | 墓地、埋葬等に関する法律 |
31号 | 庁舎、工場、研究所、試験所等 | 国又は地方公共団体が設置する施設に限る。 |
32号 | 公園、緑地、広場、運動場、 墓地、市場、その他公共の用に供する施設 |
国又は地方公共団体が設置する施設に限る。 |
事業認定処分を行う機関
国土交通大臣又は都道府県知事です。
国土交通大臣が行う事業認定の処分は、国又は都道府県が起業者である事業や起業地が2以上の都道府県の区域にわたる事業等です。
都道府県知事が行う事業認定の処分は、国土交通大臣が行う事業認定の処分の対象事業以外とされており、主に市町村や都道府県の区域を越えない民間事業者が起業者である事業です。
事業認定の要件
事業の認定を受けるためには、次の各号の4要件をすべて満たすことが必要です。
1号要件―事業が法第3条各号のいずれかに掲げるものに関するものであること。
2号要件―起業者が当該事業を遂行する充分な意思と能力を有する者であること。
3号要件―事業計画が土地の適正かつ合理的な利用に寄与するものであること。
4号要件―土地を収用し、又は使用する公益上の必要があるものであること。
収用裁決手続
収用委員会が、土地等の権利者に対する補償金の額、起業者が土地等の権利を取得する時期、土地等の権利者が土地等を明け渡す期限等を決定(裁決)する手続きです。