生産緑地の義務について
生産緑地の所有者または利用権者は、対象の生産緑地を実際に農業等のために利用することと、その農業等が継続して可能となるように設備等を維持・管理することが義務付けられています。
この義務を負う期間は、その生産緑地の指定から30年間、またはその所有者の終身とされています。もし農地としての維持管理が行われなくなった場合には、税の優遇措置が打ち切られることになります。
ただし平成30年9月以降は、所有者自身が農業経営を行う場合以外に、一定の要件を満たす農地の貸付けを行なった場合にも農地として管理を続けているものとして、税の優遇措置の継続適用が認められることになりました。
生産緑地の2022年問題
現在の「生産緑地」の指定は、1991年の生産緑地法の改正を受けて1992年にスタート。当時、多くの土地所有者が「生産緑地」の指定を受けました。通常「生産緑地」は、上記にも記述の様に指定から30年間の維持・管理することが義務付けられています。
2022年に、面積ベースで約8割にあたる「生産緑地」が指定から30年が経過することにより、生産緑地の保有者は市町村に対して土地の買取りを申し出ることが可能になります。
「生産緑地の2022年問題」は一斉に自治体に向けて買い取り請求をすると予想され、緑地の減少や土地の供給過多などの問題が起きると言われています。
特に注目を集めているのが、「都市部の不動産が値下がりする」ということです。
国土交通省によると、全国にある生産緑地は12,332ヘクタールの内、半数以上にあたる7,075ヘクタールが関東に集中しています。
「生産緑地」を自治体に買取を申し出をしても実際には予算が足りず、買い取りされないケースが多いのが実情です。
自治体に買い取られなかった場合、「生産緑地」の指定から外れた農地は、これまでより高額な固定資産税を払う必要があり、土地を手放す所有者も多く出てくると見込まれています。そうなると、宅地向けに転用・売却される可能性が高く、宅地が増えることで周辺の土地や不動産の価格が下がるのではないかと言われています。
2022年問題への対策
2022年問題を懸念して、2017年に生産緑地法が以下のように改正されました。
- 特定生産緑地制度により、10年後も営農を希望する場合は10年の延長が可能になりました。
- 農地に農作物の直売所やレストランなどの施設建設が可能になりました。
- 生産緑地指定の面積要件が500平方メートルから300平方メートルに引き下げられました。