生産緑地法について
人口の増加により、一部の都市の都市化が急速に進み、緑地が宅地へと転用されることが増え急速に市街地の緑地が減少していくことに対して様々な問題の対策として1972年に「生産緑地法」が制定されました。
1991年に長期の営農することで課税を農地並みとする「長期営農継続制度」が廃止に伴い、その対策として1992年に生産緑地法が改正され、「生産緑地については農地並み課税を継続する」こととなりました。これに伴い、もともと指定条件の厳しかった生産緑地地区の条件が、緑地の環境機能を維持するために、農地として保存すべき土地は保全する「生産緑地」と、宅地への積極的な転用を進めていくための「宅地化農地」に緩和され指定を受ける農地が増加していきました。
生産緑地法は生産緑地法は1972年に制定されて以降、たびたび改正されており、「生産緑地の2022年問題」の社会背景の変化に伴い、さらに法改正がされました。この記事では2017年に改正された「新生産緑地法」について大きく3つのポイントに分けて解説いたします。
Point.1 特定生産緑地指定
生産緑地は30年の営農義務経過後は市町村に対して買取の申し出ができますが、特定生産緑地に指定された土地は買取の申し出をできる時期が10年先送りにされることになりました。もちろん、先送りされた場合は固定資産税の減免などの減税措置を引き続き受けることができます。これにより2022年問題の影響を緩和する意図があります。
Point.2 条例による面積要件の引き下げ
生産緑地地区の面積要件はこれまで500平方メートルでしたが、市町村が一定の基準のもと、条例により面積要件を300平方メートルに引き下げることが可能となりました。これは、500平方メートルという要件が都市部の農地にしては広いものだったことが改正に至った要因です。
Point.3 行為制限の緩和
これまで生産緑地内に設置できるのは農業用施設のみでした。しかし、これでは所有者が生産緑地を使って収益を得ることが難しい状況にありました。こうした背景から、改正後には地元の農産物を使った商品の製造、加工、販売のための施設やレストランを設置できるよう変更されたのです。
都市農地賃借法制定
生産緑地に関する法律の制定や改正が続く中、2018年には生産緑地の所有者が生産緑地を第三者に貸しやすくなる様に「都市農地の賃貸の円滑化に関する法律案(以下、都市農地賃借法)」が制定されました。