相続が開始すると、遺言書の有無の確認、相続人・相続財産の確定、相続放棄、遺産分割協議、名義変更、相続税の申告など様々な手続きが必要です。土地も相続財産のひとつなので、他の財産と相続手続きの流れは同じです。遺言書がなく相続人が複数いる場合には、相続人全員で遺産分割協議をおこない、土地を相続する方を決めることになります。
土地を相続するときのポイントは、土地は預貯金と異なり、平等に分けるのが難しい財産で、どのように分けるのか遺産分割方法を決めることと、相続する土地の価額をいくらと評価するのかということです。また、土地の名義変更(相続登記)の方法も把握しておきましょう。
遺言書の有無の確認
遺言書は、その内容によって相続手続きに大きな影響を及ぼすことがあります。
よって、相続手続きではまず遺言書があるのかどうか、被相続人(死亡した人)が隠していそうな場所を徹底的に確認することが必要です。
人によっては自分の手元で保管せず銀行の貸金庫や知人、知り合いの弁護士や税理士、行政書士などの専門家に預けている場合も考えられます。
相続人・相続財産の調査と確定
相続人の調査・確定は、被相続人の死亡から出生までの戸籍を全て取得し、その戸籍を基に誰が相続人となるのかを確定していきます。
遺産相続では、被相続人が所有していた全ての財産(権利義務を含む。)が相続人に引き継がれます。ただし、被相続人の一身に専属していたものや祭祀財産は遺産相続の対象にはなりません。
遺産相続のときには、相続人の利益になる相続財産のことを「プラスの財産」、相続人の負担になる財産のことを「マイナスの財産」ともいいます。
相続財産の全てを把握しなければ相続放棄や限定承認の手続きが必要なのか、相続税は課税されるのか、などの判断をすることができません。
特に、相続放棄等の手続きをする場合には、「相続の開始を知った日から3ヶ月」と非常に短い期間内に行わなればなりませんので、できる限り早い遺産の調査・確定が必要です。
相続するか相続放棄するか判断
相続するかしないかを決めるのは「相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内」です。
この期間を熟慮期間といいます。
近親者であれば被相続人の死亡についてはすぐにわかるため、通常は被相続人の死亡日が「相続開始の日」になります。
つまり、被相続人の死亡日から3ヶ月以内に相続するかしないかを決める必要があります。
一方、長期で海外にいたり、親戚でもほとんど付き合いがないようなケースでは、被相続人の死亡を知らないまま時が過ぎてしまうこともあります。
そのため、単純に「相続開始(死亡日)から3ヶ月以内」ではなく「自分が法律上、相続人となった事実を知った時から3ヶ月以内」となっています。
遺産分割協議で土地の引き継ぎ方を決める
遺産を分割して引き継ぐためには2つの方法があります。遺言に従って引き継ぐか、相続人による遺産分割協議で分割方法を決めて引き継ぐか、の2つです。前者を「指定分割」、後者を「協議分割」ともいいます。
遺言書があれば、それが優先され、遺言で指定された人がその内容に従って遺産を引き継ぎます。遺言書がない場合は、被相続人と一定の関係にある法定相続人が全員で話し合い、遺産の分け方を決めることになります。これが遺産分割協議です。
相続税の申告・納税
相続税は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に、被相続人の住所地の税務署に申告して納税します。 申告書を提出する人が2人以上いる場合には、共同で申告書を作成し連署して提出します。
必要書類を用意し相続登記をする
相続登記とは、相続によって不動産を相続した場合に行わなければならない手続きです。
具体的には、不動産の名義を被相続人から相続人へ変更する手続きを指します。
相続登記の手続きには、提出しなければならない書類がいくつかあります。