土地の相続について

土地の遺産相続に期限はないが放置しないことをおすすめします

土地の遺産相続に期限はないが放置しないことをおすすめします

親や配偶者、兄弟が亡くなると、親族や故人の親しい人への連絡、通夜と葬儀などであっという間に時が過ぎてしまいます。
故人の死亡届、保険や年金の手続き、預貯金の解約など、思いつく相続手続きをするだけでも大変です。
遺産に土地が含まれている場合、土地の遺産相続手続きをしなければならないと分かっていても、つい後回しにしてしまう方もいるでしょう。
しかし、遺産相続手続きの中には期限が定められている手続きもあります。
そこで、この記事では相続手続きの中で、特に土地の遺産相続手続きの期限について解説します。

土地の相続登記の期限

土地を相続すると、相続登記をしなければならないということは聞いたことはご存知だと思います。土地や建物は登記という方法で、誰が所有者か、誰が抵当権を設定しているのかなどが公にされています。土地の遺産相続があると、土地の所有権が被相続人から相続人に移り、相続人が新たな土地所有者であることを公にするため、土地の相続登記をすることになります。
土地の相続登記は、いつまでに行わなければならないなどの期限は定められておらず、実際土地の登記上の所有者は、数十年前に亡くなった方のままであるというケースもあるくらいです。

土地の遺産分割の期限

相続登記に関係するのが、土地の遺産分割です。
遺産分割とは、法定相続分と違う内容で遺産相続をしたいときに、相続人全員で行う話し合いです。
遺産分割協議が整わないから相続登記をしないというケースも見受けられます。また、相続人が多忙である、相続人同士が疎遠である、遺産である土地が遠方などの理由で、遺産分割協議をしないケースもあります。
遺産分割に期限は定められていませんが、遺産分割を放置すると、様々なリスクが生じる恐れがあります。

放置することによるリスク

土地の遺産相続を放置しておくと生じるリスクの1つは、遺産が相続人全員の共有になることが原因です。
民法では法定相続分が定まっており、被相続人が有していた土地は、法定相続人全員の共有となります。
たとえば、被相続人の妻と子2人が土地を相続したら、妻が2分の1、子がそれぞれ4分の1の割合で土地を共有することになります。
相続人3人で遺産分割しない限り、土地の共有状態が続いてしまうのです。
土地が共有のままだと、相続人の1人が土地を売りたいと思っても、単独で土地売却を実行することはできません。
土地を売りたい場合、共有者である相続人全員で話し合う必要があり、遺産である土地が共有のままだと被相続人の一人である子は土地を売りたいと思っても、妻が売りたくなければ土地を換価することはできません。

民法上は共有持分のみを売却することは可能ですが、共有持分のみの売却代金は非常に安く、またのちの家族間のトラブルに発展する可能性があります。

時間が経つと土地を共有している人が多くなる可能性があるのも、土地の遺産分割手続きを放っておくと生じるリスクです。
土地を相続した場合、何らかの形で遺産分割手続きをしておけば、土地を売りたいときに苦労せずに済むでしょう。