耕作放棄地が増加している主な原因として、農業者の高齢化や後継者不足による農業人口の減少が挙げられます。農業を行う人がいなくなって、土地が放置されるケースが多いのです。
農地が減少し、耕作放棄地が増加するので、国内の農業生産が減少し食料自給率の低下を招きます。日本の食料自給率は、昭和40年度には73%でしたが、近年は40%を推移している状態です。食料自給率の低下は農地の問題だけでなくさまざまな要因が関係していますが、耕作放棄地の増加は輸入への依存という大きな問題にもつながっています。
自給率の問題だけでなく、耕作放棄地の問題は環境面でも大きな社会問題になっています。
田畑が荒れる
農地として利用しないとしても、土壌の質を維持するためには適切な管理が必要となります。耕作放棄地となり、農地として手入れをしなくなると、土壌はどんどん荒れて、必要な栄要素が失われてしまいます。放置する期間が長くなればなるほど、荒れ方がひどくなるため農地に戻すのに時間がかかり、難しくなってしまうでしょう。
雑草が生え、鳥獣が住み着く
土地を農地として利用されている間は、収穫する農作物に害虫がついたり、作物の栄養が雑草に吸収されて成長が阻害されないよう、害虫や雑草の対策をすることでしょう。しかし放棄されてしまった農地は、あっという間に雑草が生い茂り、農業に害をもたらす虫が棲みやすい環境になってしまいます。
また、中間山地の場合は、人が出入りしないと畑を荒らす野生動物が田畑に住み着いたり荒らしたりしてしまいます。耕作放棄地が野生動物の棲家になってしまうと、そこを拠点に他の畑を荒らされてしまう可能性もでてきます。
災害の危険性
農地には、洪水防止という機能があります。そのため、農地の優れた貯水機能を利用して、あぜに囲まれている水田や水を吸収しやすい畑の土壌に、計画的に雨水を貯留することによって、洪水対策として利用している取り組みもあるのです。しかし、耕作放棄地となってしまうと、農地が持つさまざまな機能が失われ、洪水の発生がおさえられなくなってしまいます。
近隣の他の農地に悪影響
農地を放置してしまうと、雑草が生えて、そこに害虫や鳥獣も現れやすくなり、隣接しているもしくは近くの農地へも被害が及んでしまう可能性があります。
また、農地の用水路の管理がなされていないと、不法投棄が増える原因にもなってしまいます。不法投棄は、自然界への悪影響が懸念されるなど、さまざまな悪影響が懸念されるため、近隣の民家や住民にまで被害を与える恐れがあり、生活に影響を及ぼす問題となっています。