土地の相続について

相続登記の義務化について

相続登記の義務化について

相続登記の義務化とは?

今まで相続登記は義務ではありませんでした。そのために、所有者が亡くなっても登記記録が変更されないままになっている土地が多くあり、所有者不明の土地が増加し、管理されない土地が災害につながったり、公的な土地利用の邪魔になったりすることが社会的に認知されるようになりました。

また、現在は人口減少や高齢化が進んだことで、土地活用の機会が減少しています。登記記録は土地を売ったり、貸したりする時にその権利を証明する役割を果たしますが、そもそも活用機会がないのであれば証明する必要もないため、相続登記もしない人が増えてしまいました。

今後さらに、高齢化によって所有者不明の土地が増えることが予想されるため、相続登記が義務化されることになりました。

 

相続登記はいつから義務化される?

2021年12月14日の閣議において、2024年4月1日から相続登記は2024年4月1日から義務化が決定しました。

 

相続登記の義務化の概要について

登記には期限が設定されており、期限を超えた場合は罰則もあるため、条件を理解しておくことが大切です。
また義務化とともに、提供する情報や手続き方法も変更されています。ここでは、相続登記義務化の概要や、義務化による問題点について解説します。

 

対象者

相続登記義務化は相続された不動産を所有する全員が対象者です。
法改正前に相続を開始した場合は、義務化の対象にならないと思っている方もいるかもしれませんが、そうではありません。
相続登記の義務化は、所有者不明の土地をなくすという背景から始まりました。そのためにも、相続開始時期がいつであろうと相続登記をする必要があります。
また、住所を変更した場合にも不動産登記が必要なので、注意しましょう。

 

登記の期限

相続登記は、相続開始または所有権があることを知った日から3年以内に行う必要があります。遺言により所有権を得た場合も同様です。
法改正前に不動産を相続されていた場合でも、法改正後に不動産の所有者になっていた事実を知った日から数えて3年以内が期限です。
住所変更があった場合は、住所変更した日から2年が登記期限です。

 

相続人申告登記

遺産分割協議でもめた場合、相続人申告登記ができるようになりました。

遺産相続では、分け方でもめてしまい、期限である3年を超えてしまうケースも珍しくありません。遺産分割協議が終わらない場合のために、相続人が相続の開始を申請することで、仮の相続登記をしたとみなす「相続人申告登記制度」が設けられます。

ただし、あくまでも仮の相続登記になるため、相続人決定後は正式な登記手続きが必要です。

 

登記をしないとどうなる?

相続登記を怠った場合、正当な理由がなければ10万円以下の科料が発生します。
もし、相続人がなかなか決まらず、期限以内に相続登記ができない場合、仮の登記である「相続人申告登記」をすれば科料は発生しません。
ただし、その後に相続人が決まれば、その日から3年以内に相続登記をしなければなりません。この申請を怠った場合も、10万円以下の科料が発生しますので、注意が必要です。
また、住所を変更した場合、登記期限の2年を超えると5万円以下の科料対象になります。

 

生年月日や連絡先の提供

相続登記の義務化とともに、生年月日や連絡先の提供も義務化されます。これらの情報は、登記簿には記載されません。法務局により、住民基本台帳ネットワークに検索用データとして保管されます。

また、法務局は住民基本台帳ネットワークから登記簿の所有者が亡くなっていることを把握した場合、死亡情報を登記簿に記録します。
ただし、相続登記をしなくてよいわけではないので、注意が必要です。

 

相続手続きの簡略化

今までの相続登記では、複数の相続人がいる場合、全員の戸籍を集めなければ登記手続きができませんでしたが、法改正により、相続人が複数いた場合でも、そのうちのひとりが申し出るだけで登記手続きができるようになり、義務化によって負担が増える代わりに、手続きが簡単になります。