建物を新築した場合や、登記されていない不動産(土地や建物)を取得した場合、1ヶ月以内に登記をしなければならないと規定されています。
不動産の現況を表示する「表題部」が未登記の場合、10万円以下の罰金を科せられることがあります。
一方、不動産の権利関係を表示する「権利部」の登記は、所有者の任意です。しかし、権利部が未登記の場合、自分が所有者であることを主張できないというデメリット以外にも様々なデメリットが存在します。
建物や土地の未登記のデメリット
未登記のまま放置しているのはさまざまなリスクがあります。
固定資産税が高くなる
土地に住宅が建っている場合、土地の固定資産税が最大で1/6、都市計画税が1/3まで減額される軽減措置があります。
未登記建物の場合、この軽減措置が受けられない可能性があります。
なぜなら、住宅が建っていることを市町村が把握していない土地に関しては、「建物が建っていない土地」として軽減措置が適用されていない固定資産税・都市計画税が課税されるためです。
未登記建物の場合、市区町村が建物が存在していることを情報上で把握できない可能性があります。市区町村は定期的に、実地確認を行っていますので、それで未登記建物を把握してもらうまでは、固定資産税が高いままとなるでしょう。
固定資産税が通常の6倍、都市計画税が3倍となり、高額になるので注意が必要です。
住宅ローンが組めない
未登記建物のままでは抵当権が設定できず、建物を担保にすることができません。そのため、銀行も未登記建物であれば、融資を承認しないため、住宅ローンを組むことができないのです。
売却が難しい
未登記建物を売却することは不可能ではありません。しかし、あまり現実的ではないでしょう。
買い主は、未登記建物のデメリットを被ります。固定資産税の軽減措置は受けられない可能性がありますし、そのままでは住宅ローンを組むこともできません。また、登記するには10〜30万円前後の費用がかかります。そのような住宅を購入するという人はほとんどいないでしょう。
そのため、未登記建物の売却は非常に難しいと言えます。
相続手続きが煩雑になる
未登記建物の表題部登記の義務は相続人に受け継がれます。相続人が売却したり、リフォームしたりする予定があれば、相続人が登記手続きをしなければいけなくなってしまいます。
また、未登記のままにしている場合、登記に必要な書類を紛失している可能性が高く、それらの書類を集めることに時間と費用を要するでしょう。
底地所有者へ対抗できない
未登記建物は、その建物の所有権を第三者へ主張することができません。
第三者が所有する土地に建物が建っている場合、建物の所有権だけでなく、賃借権も底地所有者へ権利を主張することができないのです。
相続など、なにかのきっかけで底地所有者の気が変わってしまい、建物ごと立ち退くよう求められた場合には、建物を取り壊すしかなくなってしまいます。